外国に特許申請する際に主張する「パリ条約による優先権」とは?

外国に特許申請する際に主張する「パリ条約による優先権」とは?

「パリ条約による優先権」って言われても、初めて外国に特許申請する方などにとってはなんのことなのかわからないですよね。

まず「パリ条約」っていう言葉がややこしくしている気がするのですが、このパリ条約というのは特許などを国際的に保護するための条約で、1883年にパリで締結されたのでパリ条約といいます。
自分の国だけじゃなくって他の国々でも特許申請をして権利化したい場合などに、うまいこと保護されるように175カ国(2013年10月現在)の同盟国の間で約束事を決めているのがパリ条約です。世界の主な国々のほとんどがパリ条約の同盟国です。

このパリ条約の約束事の中で、もっとも利用価値があるといわれているのが「優先権」です。
条約の第4条に「優先権」は定められています。
パリ条約第4条 優先権(特許庁 外国産業財産権制度情報)

この「優先権」は、とりあえず自国に特許出願したけど、その後に同じ内容の発明について外国にも特許出願したいなという場合などに主張されます。

外国にこの「パリ条約による優先権」を主張して特許出願をすると、自国に特許出願した日にしたのとほぼ同じように取り扱われます。

この「優先権」は自国に特許出願した日から1年以内に主張することができます。

例えば2013年10月1日に日本に特許出願をした後、この日本の特許出願に基づいて「パリ条約による優先権」を主張して2014年8月1日にブラジルに特許出願をした場合には、このブラジル出願は2013年10月1日にしたのとほぼ同じように取り扱われ審査されます。

外国出願をする場合には翻訳するための期間が必要になりますし、けっこう費用もかかったりするので出願するかどうか慎重に決める必要があります。
そのために1年間猶予期間を与えてあげましょうというのが優先権の制度を設けた理由です。

上で述べたブラジル出願でパリ条約優先権を主張した例を図で表してみました。

外国への特許申請でパリ条約優先権を主張する具体例

日本に特許出願をした日とブラジルに特許出願をした日との間に、他人が似たような発明で特許出願していても、出願人本人や他人が発明の内容を公表したり実施していても、これらのことを理由にブラジル出願が拒絶されたりすることはありません。もし優先権を主張しない場合には、ブラジル出願は拒絶されてしまう可能性が高いです。

また、日本の特許出願日とブラジルの特許出願日との間に、ブラジルで他人が善意でその発明の内容を実施していたとしても、その他人に先使用権という実施権が認められることはありません。もし優先権を主張しない場合には、先使用権が認められてしまう可能性があります。

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