特許申請・出願の特許査定率

「特許査定率」特許申請・出願をして特許が認められる成功率は?

特許申請をして、実体審査の結果、審査官などにより特許が認められる成功率(特許査定率)は、日本ではどのぐらいかというと、2022年は75.9%でした。
なお、ここでいう特許査定率は、特許査定件数(187,794件)/(特許査定件数(187,794件)+拒絶査定件数(57,927件)+一次審査着手後の特許申請の取下げ・放棄件数(1,657件))で計算された率です。

特許査定率は2009年からほぼ上昇傾向にありましたが、2017年から少し落ち着きました。2022年は前年と比べて1.1%上がり、2008年以降でいちばん高い特許査定率です。

特許査定率の推移を表したグラフ

発明について特許を受けるための要件の一つに、進歩性(特許申請したときの技術水準に基づいてその道の通常の専門家が容易に考えつかない程度の発明であること)という重要な要件がありますが、特許庁の審査などにおいてこの進歩性を満たしているかどうかの判断の基準が昔と比べるとやや甘い傾向があることが特許査定率が上昇傾向にあった理由の一つではないかと思います。

特許庁の審判官が行った審決に不満があるときに取り消しを求める訴訟を取り扱う知的財産高等裁判所が、進歩性について昔と比べるとやや甘めの判断をする傾向があるので、特許庁の審査官などの判断に影響を与えたのではないかと思われます。

また、先行技術調査に力を入れるなどして特許権を取得できる可能性を十分に検討した特許出願が増加していること、
特許権を取得できる可能性が比較的高めであると予想される特許出願に絞って出願審査請求が行われる傾向があること、
審査請求を行った後でも、特許性がないと判明したなどの理由で審査着手前に特許申請を取下げ、放棄すれば、審査請求料の半額が返還されうる制度の利用が定着してきたこと(例えば、2022年に審査請求後、一次審査着手前に取下げ・放棄をした特許出願件数は2,354件)、
特許庁が特許審査迅速化・効率化のための取組として、査定率が上昇してくる前には査定率を55%~60%程度まで向上させる目的を掲げていたことなどが
特許査定率が上昇傾向にあった理由として挙げられます。

参考資料:特許行政年次報告書2023年版 第1部 グラフで見る主要な統計情報 第1章 国内外の出願・登録状況と審査・審判の現状(特許庁)(PDF3.69MB)

なお、日本の特許申請の審査において、最初の審査結果の通知での特許査定率は14.3%であって(2022年1月~12月)、一発で特許が認められる率は高くありません。

一発で特許が認められない場合には、審査官から拒絶理由が通知されることになりますが、日本においてこの拒絶理由が通知される平均回数は1.1回です(2022年1月~12月)。
この拒絶理由が通知される平均回数は、(最終処分が発行された特許出願の拒絶理由通知の合計回数)/(最終処分が発行された特許出願件数)で計算されているので、拒絶理由が通知されずにいきなり特許査定となった出願では、拒絶理由通知の回数は0として考慮されています。

参考資料:特許審査ハイウェイの統計情報(特許庁)

特許査定率などについてのまとめです。

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