特許出願・申請の審査にかかる期間

特許申請の審査待ち期間、最終処分期間を説明する図

特許出願・申請をした後、特許庁に審査を請求してからどのくらいの期間待てば最初の審査結果を知ることができるのか、最終的な審査結果がわかるまでのどのくらいの期間がかかるのか、早期審査制度を利用するとどのくらい審査期間が短縮されるのかについて説明します。

特許申請・出願の審査にかかる期間はどのくらい?

特許申請・出願の審査にかかる期間について、特許行政年次報告書2020年版(特許庁)特許庁ステータスレポート2021 第2部 2020年の施策成果 第1章 審査・審判(PDF1.25MB)などを参考にして説明します。

特許申請の審査待ち期間、最終処分までの期間

2019年度の特許申請の平均の審査待ち期間は9.5ヶ月です。前年度の平均9.3ヶ月より0.2ヶ月ほど延びました。

ここでいう「審査待ち期間」(一次審査通知までの期間)というのは、特許申請手続をしてからの待ち期間ではなく、審査請求手続をしてから審査官が最初に審査の結果を通知してくる(いちばん最初の拒絶理由通知や一発での特許査定など)までの待ち期間です。
発明の具体的な内容などについて特許庁の審査官に審査してもらうためには、特許申請手続を行っただけではだめで、申請の日から3年以内に出願審査請求という手続を行う必要があります。

したがって、特許申請手続をしてからの待ち期間は、この「審査待ち期間」+特許申請手続をしてから審査請求手続するまでの期間になります。例えば、特許申請の日から3年経った期限ぎりぎりの日に審査請求手続をしたとすると、単純に平均の「審査待ち期間」を足した場合には3年と9.5ヶ月になります。

2019年度の「最終処分までの期間」は平均14.3ヶ月です。前年度の平均14.1ヶ月より0.2ヶ月ほど延びました。

ここでいう「最終処分までの期間」(標準審査期間)というのは、審査請求手続をしてから、最初の審査結果の通知を経て、特許査定,拒絶査定などの最終処分を受けるまで、または、出願の取下げ,放棄などまでの平均期間です。特許庁に早期審査の申請や応答期間の延長を求めた場合等は除かれます。
一発で特許査定の場合には、「審査待ち期間」と「最終処分までの期間」が同じになります。
なお、特許出願してから審査請求手続を経て最終処分を受けるまでの流れについては特許出願・特許申請の流れのページをご参照ください。

特許庁は、2023年度までに「審査待ち期間」について平均10ヶ月以内にすること、審査請求手続をしてから「最終処分までの期間」(標準審査期間)を平均14ヶ月以内にすることを目指しています。

「審査待ち期間」は既に10ヶ月以内の目標を達成していますので、これを2023年度まで維持し続ければよく、「最終処分までの期間」は目標を達成しかけています。

なお、上述の特許庁のリンク先では「最終処分までの期間」を「権利化までの期間」と表現していますが、拒絶査定までの期間も含まれることや、特許査定になっても正確にはまだ権利化はされていないことなどからそのような表現は差し控えました。
もっとつきつめると出願の取下げ、放棄までの期間も含まれるので「最終処分までの期間」という表現も完全には正確じゃないです。

少し古いデータを付け足して「審査待ち期間」と「最終処分までの期間」の平均期間の推移をグラフに表してみると、審査期間が短縮されてきていることがより明確にわかります。

特許申請の審査待ち期間、最終処分期間の推移を表したグラフ

特許権の存続期間は、原則、最長で(特許料を支払い続ければ)特許出願の日から20年で終わります。このように特許権は権利が発生した日ではなく特許出願日を基準にして最長の存続期間が決められているので、特許出願した日から特許権を取得するまでの期間が短ければ短いほど長い存続期間の実現が可能になります。
なお、審査が長引き、特許出願の日から5年を経過した日、または、審査請求の日から3年を経過した日のいずれか遅い日以後に特許権が設定登録された場合には、特許権の存続期間の延長が可能になり、出願日から20年を経過しても特許権を存続させることが可能になりました。

日本では世界最速の審査を目指すとのことですが、例えば、米国では2019年度における出願から最初の審査通知までの平均期間(審査請求の制度は採用されていないので。)が14.7ヶ月程度、出願日から最終処分までの平均期間が23.8ヶ月程度、韓国では2019年における審査請求日から最初の審査通知までの平均期間が10.8ヶ月程度(実用新案登録出願を含みます。)、審査請求日から最終処分までの平均期間が15.6ヶ月程度です。

日本の特許庁は、審査を行う上で重要な先行技術文献調査について民間の調査会社などを活用したり、約500名の任期付審査官(5年間の任期で採用)を確保することなどで、特許出願の審査の迅速化にがんばっているそうです。

ちなみに日本の特許の審査官の数(2019年度)は1,682名でした。2020年度は1,666名の審査官により審査が行われます。

日本の一審査官当たりの審査処理件数は、米国特許商標庁や、欧州特許庁と比べると数倍多く、他の国々と比べると特許申請の審査が効率的に行われているといえるのかもしれません。

特許出願の審査が早くなり、早期権利化が望まれることのほうが多いと思われますが、発明の内容によっては逆に審査を遅らせたくなる場合も考えられます。
例えば、競合する会社の技術開発の方向性をもう少し時間をかけて見極めてから権利化を進めたい場合や、基礎研究に関する発明であるために具体的な実施の目途が付くまでに時間がかかる場合などが挙げられると思います。
このような場合に出願人の申請により審査を遅らせる制度を採用している国もありますが、日本では採用されておりません。

新しい情報として2020年7月~12月の日本における特許申請の平均の審査待ち期間は10.1ヶ月でした。
また、2020年7月~12月の日本における「最終処分までの期間」は平均14.8ヶ月でした。
審査官がテレワークをしていて出願人側から数日間連絡を取れなかったりなど、新型コロナウイルス感染症の影響があって審査が2019年度より少し遅れているのかもしれません。
→2021年4月1日から審査官がテレワーク中でも折り返しの電話連絡がくるように整備されました。

日本における特許申請の平均審査待ち期間などのまとめです。

特許申請の審査待ち期間などのまとめ

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早期審査の審査待ち期間

上述したように、特許申請の審査待ち期間は短縮化される流れになっているとはいえ、中小企業などの特許出願人の場合には早く特許権を取得しないと権利を有効に活用できなくなるという事態が生じかねません。

通常よりも早く特許申請の審査を行ってもらって、早期権利化を実現する制度として早期審査という制度があります。

早期審査が認められるためには、所定の要件を満たす必要がありますが、原則、中小企業,個人事業主の特許出願人には適切な早期審査に関する事情説明書を提出して申請すれば早期審査が認められます。
事情説明書には、先行技術の開示及び対比説明の記載が求められますが、中小企業等の特許出願人の場合には、特許出願書類である明細書に先行技術文献と対比説明が適切に記載されていれば、簡単に省略して記載することが可能です。

また、早期審査のために特許庁に特別に手数料を支払う必要はありません。ただし、特許事務所に早期審査の申請を依頼した場合には、特許事務所の手数料はかかる場合が多いと思います。このことは個人で行う特許申請・特許出願の費用と弁理士に依頼する場合の費用の比較で説明しています。

早期審査が認められると、事情説明書を提出してから審査結果の最初の通知が発送されるまでの平均審査待ち期間は2.7か月(2020年)と大幅に短縮されます。

早期審査待ち期間の推移を表したグラフ

この早期審査の平均審査待ち期間は、2010年まで短縮傾向にありましたが、2011年から2016年まで少しずつ長くなっていました。早期審査の申出件数が増え続けていたことと関係していたのではないかと思われます。
2020年は特許出願件数が大幅に減少し、その影響を受けて早期審査の申出件数も少し減少しました(2019年22,912件→2020年22,401件)。

中小企業などに早期審査の申請要件を緩和したのは2006年からですが、それでも早期審査対象出願の特許査定率は上昇傾向にありました。特許査定率というのは特許が認められる成功率のことをいいます。
古い2013年のデータですが、早期審査の対象となった特許申請の特許査定率は81.0%で、全特許申請の特許査定率の69.8%と比べて、11.2%も高い特許査定率でした。
中小企業は積極的に早期審査制度を利用するべきであると思います。

早期審査を利用した場合のまとめです。

早期審査のまとめ

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