特許出願・申請の審査にかかる期間

特許申請・出願の審査にかかる期間はどのくらい?

特許申請・出願の審査にかかる期間について、特許行政年次報告書2018年版(特許庁)特許庁ステータスレポート2018などを参考にして説明します。

特許申請の審査待ち期間、最終処分までの期間

2017年度の特許申請の平均の審査待ち期間は9.3ヶ月です。
2016年度は平均9.4ヶ月であったので0.1ヶ月ほど短くなりました。

ここでいう「審査待ち期間」(一次審査通知までの期間)というのは、特許申請手続をしてからの待ち期間ではなく、審査請求手続をしてから審査官が最初に審査の結果を通知してくる(いちばん最初の拒絶理由通知や一発での特許査定など)までの待ち期間です。
(発明の具体的な内容などについて特許庁の審査官に審査してもらうためには、特許申請手続を行っただけではだめで、「審査請求手続」を行う必要があります。)

特許申請手続をしてからの待ち期間は、この「審査待ち期間」+特許申請手続をしてから審査請求手続するまでの期間になります。例えば、特許申請の日から3年経ってから審査請求手続をしたとすると、単純に平均の「審査待ち期間」を足すと3年と9.3ヶ月になります。

内閣総理大臣を本部長とする知的財産戦略本部において、毎年、検討が加えられ策定される日本の知的財産政策に関する行動計画である知的財産推進計画2018では、世界最速の特許審査の実現を目指して、2023年度までに「審査待ち期間」について平均10ヶ月以内にすること、審査請求手続をしてから「最終処分までの期間」(標準審査期間)を平均14ヶ月以内にすることを掲げています。

「審査待ち期間」は既に10ヶ月以内の目標を達成していますので、これを維持するということです。
ここでいう「最終処分までの期間」(標準審査期間)というのは、審査請求手続をしてから特許査定,拒絶査定などの最終処分を受けるまで、または、出願の取下げ,放棄などまでの平均期間です。特許庁に早期審査の申請や応答期間の延長を求めた場合等は除かれます。
2017年度の「最終処分までの期間」は平均14.1ヶ月です。2016年度は平均14.6ヶ月でしたので0.5ヶ月ほど短くなり、目標を達成しかけています。

なお、上述のリンク先では「最終処分までの期間」を「権利化までの期間」と表現していますが、拒絶査定までの期間も含まれることや、特許査定になっても正確にはまだ権利化はされていないことなどからそのような表現は差し控えました。
もっとつきつめると出願の取下げ、放棄までの期間も含まれるので「最終処分までの期間」という表現も完全には正確じゃないです。

「審査待ち期間」と「最終処分までの期間」を図に表してみました。

特許申請の審査待ち期間、最終処分期間を説明する図

少し古いデータを付け足して「審査待ち期間」と「最終処分までの期間」の平均期間の推移をグラフに表してみると、審査期間が短縮されてきていることがより明確にわかります。

特許申請の審査待ち期間、最終処分期間の推移を表したグラフ

日本では世界最速の審査を目指すとのことですが、例えば、米国では2017年度における出願から最初の審査通知までの平均期間(審査請求の制度は採用されていないので。)が16.3ヶ月程度、出願日から最終処分までの平均期間が24.2ヶ月程度、韓国では2017年における審査請求日から最初の審査通知までの平均期間が10.4ヶ月程度(実用新案登録出願を含みます。)、審査請求日から最終処分までの平均期間が15.9ヶ月程度です。

日本の特許庁は、審査を行う上で重要な先行技術文献調査について民間の調査会社などを活用したり、約500名の任期付審査官(5年間の任期で採用)を確保することなどで、特許出願の審査の迅速化にがんばっているそうです。

ちなみに日本の特許の審査官の数(2017年度)は、通常審査官が1,200名、任期付審査官が496名で合計1,696名です。2018年度は合計1,690名の審査官により審査が行われます。

日本の一審査官当たりの審査処理件数は、米国特許商標庁や、欧州特許庁と比べると数倍多く、他の国々と比べると特許申請の審査が効率的に行われているといえるのかもしれません。

特許出願の審査が早くなり、早期権利化が望まれることのほうが多いと思われますが、発明の内容によっては逆に審査を遅らせたくなる場合も考えられます。
例えば、競合する会社の技術開発の方向性をもう少し時間をかけて見極めてから権利化を進めたい場合や、基礎研究に関する発明であるために具体的な実施の目途が付くまでに時間がかかる場合などが挙げられると思います。
このような場合に出願人の申請により審査を遅らせる制度を採用している国もありますが、日本では採用されておりません。

日本における特許申請の平均審査待ち期間などのまとめです。

特許申請の審査待ち期間などのまとめ

ueniページトップへ戻る

早期審査の審査待ち期間

上述したように、特許申請の審査待ち期間は短縮化される流れになっているとはいえ、中小企業などの特許出願人の場合には早く特許権を取得しないと権利を有効に活用できなくなるという事態が生じかねません。

通常よりも早く特許申請の審査を行ってもらって、早期権利化を実現する制度として早期審査という制度があります。

早期審査が認められるためには、所定の要件を満たす必要がありますが、原則、中小企業,個人事業主の特許出願人には適切な早期審査に関する事情説明書を提出して申請すれば早期審査が認められます。
事情説明書には、先行技術の開示及び対比説明の記載が求められますが、中小企業等の特許出願人の場合には、特許申請書類である明細書に先行技術文献と対比説明が適切に記載されていれば、簡単に省略して記載することが可能です。

また、早期審査のために特許庁に特別に手数料を支払う必要はありません。ただし、特許事務所に早期審査の申請を依頼した場合には、特許事務所の手数料はかかる場合が多いと思います。

早期審査が認められると、事情説明書を提出してから審査結果の最初の通知が発送されるまでの平均審査待ち期間は2.3か月(2017年)と大幅に短縮されます。

早期審査待ち期間の推移を表したグラフ

この早期審査の平均審査待ち期間は、2010年まで短縮傾向にありましたが、2011年から少しずつ長くなっていました。早期審査の申出件数が増え続けていることと関係していたのではないかと思われます。
2017年は早期審査の申出件数が前年より増えたにもかかわらず、審査待ち期間は0.2ヶ月短くなりました。

中小企業などに早期審査の申請要件を緩和したのは2006年からですが、それでも早期審査対象出願の特許査定率は上昇傾向にありました。
古い2013年のデータですが、早期審査の対象となった特許申請の特許査定率は81.0%で、全特許申請の特許査定率の69.8%と比べて、11.2%も高い特許査定率でした。
中小企業は積極的に早期審査制度を利用するべきであると思います。

早期審査を利用した場合のまとめです。

早期審査のまとめ