特許申請・特許出願の流れ,フロー

特許出願・申請の流れ、フローチャート

特許出願してから特許権が発生するまで、または拒絶査定になってしまうまでの全体の流れを表したフローチャートです。

特許申請・出願した後に、どのような流れで審査が始まるのか、審査が進んでいくのか、特許権利化するためには具体的にどのような手続を行っていけばよいのか、各手続はいつまでに行えばよいのか(期限)、流れの中で状況に応じて可能な手続き(例えば国内優先権主張、早期審査の申請)などについて特許の専門家である弁理士の立場から説明します。

また、発明者が特許事務所(弁理士)に特許出願手続を依頼して、弁理士が出願書類を作成して庁に提出するまでの流れ(特許出願するまでの流れ)についても説明しています。具体的には、発明者が発明の内容を弁理士にどのように伝えればよいのか、伝えられた発明の内容をもとに弁理士がどのような検討を行っていくのかなどについて書いています。


このページの目次です。

特許申請・出願の手続後、特許権の取得、維持までの流れ

特許申請・出願の手続き完了後、特許権を取得し、維持するまでどのような手続きの流れになるのかについて説明します。

特許権取得までの流れをうまく進めるためには、よりよい形で明細書、特許請求の範囲、図面等の書類を完成して出願手続を行うことがポイントとなります。
出願手続が完了すると、基本的には大幅な書類の修正(補正)はできませんので注意が必要です。

なお、発明者の方などからお問い合わせをいただいて特許出願手続を完了するまでの流れについては、下記の特許出願・特許申請手続までの流れについてで説明しています。

下図のそれぞれの段階をクリックすればその説明が表示されます。

特許申請の流れの各段階をクリックするためのまとめ 方式審査 国内優先権主張手続、外国出願を行うか否かの確認 出願公開 出願審査請求を行うか否かの確認 早期審査の申請を行うか否かの確認 実体審査 特許査定 特許料納付 特許権の取得 特許権の維持

特許出願手続

インターネットを用いて出願した場合には、出願手続完了と同時に出願番号が付与されます。

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方式審査

特許庁の方式審査専門官により、申請書類に誤りがないか、手続的、形式的に問題がないかどうかについて方式審査が行われます。
問題がなかった場合には、特に特許庁から審査結果のお知らせはありません。

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国内優先権主張手続、外国出願を行うか否かの確認(出願日から1年以内)

特許申請した後に、新たに追加したい技術が出てきたり、申請書類の説明を補充したくなる場合もあるかと思います。
そういった場合に補正で対応するのはなかなか難しいのですが、出願日から1年以内であれば国内優先権という権利を主張した出願をして対応することが可能です。バージョンアップして特許申請をし直すというイメージです。
なお、国内優先権主張出願をすると、もとの出願は取り下げられたものとみなされますが、もとの出願の明細書、特許請求の範囲、図面にも記載されてあった発明は、もとの出願の時に出願されたものとみなされますので安心です。

外国出願も予定されている場合には、基本的には日本の特許出願日から1年以内にパリ条約による優先権という権利を主張して、PCT(Patent Cooperation Treaty,特許協力条約)国際出願、または、各国に直接外国出願を行う必要があります。
PCTに基づく国際出願を利用せずに直接外国に特許出願する場合には、翻訳を作成する期間も必要になりますので、余裕をもって準備する必要があります。

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出願公開(出願日から1年6か月後)

特許申請の日から1年6か月プラスちょっと経つと(1年6ヶ月経過後2週間以内)、特許庁により特許申請の内容が公開されます。
具体的には、特許庁が発行する公開特許公報というものに、発明の内容、出願番号、出願日、特許出願人の氏名(名称),住所(居所)、発明者の氏名,住所(居所)、出願公開番号、公開日などが載ります。
この公開特許公報は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)(工業所有権情報・研修館)などで誰でも閲覧することができるようになります。

出願公開がされると、出願人には業として発明を実施した者に対して警告などを要件として補償金を請求する権利(補償金請求権)が認められます。
ここでいう「補償金」とは、発明が特許されていたとした場合の実施料相当額です。
警告後、特許権設定登録前に発明を実施した者に対して補償金請求権は認められますが、この権利が行使できるのは特許権が設定登録された後になります。
この補償金請求権は、不安定な権利であるともいえますので、特許申請後早い時期に誰かに実施されてしまうおそれがある場合には、後述する早期審査を請求して早期に特許権を取得する方針を採ってもよろしいかと思います。

なお、出願公開を早くしてもらうように出願公開請求書を特許庁に提出することにより、補償金請求権を早く発生させることも可能です。例えば、出願と同時に出願公開を請求した場合には約5か月程度で公開され、方式審査が完了し特許分類が付与された後に出願公開を請求した場合には約2~3か月程度で公開されます。

出願日から1年6か月経つ前に、審査の結果、特許が認められずに拒絶査定が確定した場合には、出願公開は行われません。ただ、出願日から1年6か月経つ前であってもぎりぎりで公開の準備を始めちゃってたら公開される可能性があります。
したがって、例えば、出願してから早い時期に後述する早期審査を請求すれば、出願日から1年6月経つより前に審査の結果が確定するので、もし審査の結果拒絶されてしまった場合でも、出願した発明を公開せずに済ませることができます。

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出願審査請求を行うか否かの確認(出願日から3年以内)

特許申請をした後に、方式審査のみではなく、発明の具体的な内容などについても特許庁の審査官に審査(実体審査)してもらうためには、出願審査請求の手続を行う必要があります。

出願審査の請求手続は、原則、特許申請した日から3年以内に行う必要があります。権利化を急がれる場合には、特許申請と同時に審査請求手続を行うことも可能です。
弊所に出願のご依頼があった場合には、出願審査請求の期限の管理、手続は弊所で行います。

期限内に審査請求しない場合には、特許申請は取り下げたものとみなされ、特許権を取得することはできなくなります
2019年の国内特許出願について最終的な出願審査請求率は74.7%です(2023年に判明)。

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早期審査の申請を行うか否かの確認

早期審査の申請を行うと、特許庁の審査官に実体審査を早くすすめてもらうことができます。
早期審査制度は、早期審査の審査待ち期間で説明していますが、中小企業、個人事業主の出願人には認められやすい制度になっておりますので、おすすめです。
なお、早期審査の申請手続を行うためには上述した出願審査請求手続を行う必要がありますが、早期審査の申請手続と出願審査請求手続とを同時に行うことが可能です。
特許出願の早期審査・早期審理について(特許庁)

特許申請全体では、平均して出願審査請求の日から10.0か月(2022年度)経ってから審査官から最初の審査結果の通知がくるのに対して、早期審査を申請するとその申請の日から平均して2.3か月(2022年)で最初の審査結果が通知されます。
特許出願・申請の審査にかかる期間

弊所に出願のご依頼があって早期審査を望まれる場合には、弊所で早期審査の申請をするための「早期審査に関する事情説明書」を作成し、特許庁に提出いたします。

早期審査よりさらに審査が早いスーパー早期審査というものもあります。
早くなる分、「実施関連出願」かつ「外国関連出願」(外国へも出願している特許出願)であることなどの要件を満たす必要があります。
ここで「実施関連出願」というのは、出願人自身または出願人からその発明について実施許諾を受けた者が、その発明を実施している(スーパー早期審査を申請する日から2年以内に実施予定の場合も含みます。)特許出願です。
スーパー早期審査の実績(2022年)は、申請の日から最初の審査結果通知まで平均0.6か月(国際出願後、国内段階に移行した出願は平均1.4か月)です。
拒絶理由通知(後で説明します)に対する応答期間が30日となり、通常(60日)よりも短くなることなどに注意が必要です。
30日以内に応答しない場合には、スーパー早期審査の対象外となり、通常の早期審査の対象として取り扱われます。
スーパー早期審査の手続について(特許庁)(PDF279kB)
なお、ベンチャー企業が出願人である場合には、次に述べるように、「外国関連出願」であるという要件を満たす必要がなくなります。

平成30年7月9日から、特許審査に関するベンチャー企業支援として、「ベンチャー企業対応面接活用早期審査」「ベンチャー企業対応スーパー早期審査」の運用が特許庁で始まります。
特許審査に関する新たなベンチャー企業支援策を開始します(特許庁)
支援を受けるためには、特許出願が「ベンチャー企業による出願」であることと、上述した「実施関連出願」であることが必要です。
「ベンチャー企業対応面接活用早期審査」では、審査官が最初に審査の結果を通知してくる前に、面接において、例えば、出願人側は審査官に発明の技術的特徴を説明することができ、審査官は拒絶理由を解消するための補正、分割等の対応策を積極的に示唆してくれることがあるようです。なおかつ早期審査なので早期権利化が可能になります。2018年の実績では、早期審査の申請から最終処分までの平均期間は約5.1か月です。
「ベンチャー企業対応スーパー早期審査」では、特許出願が上述した「外国関連出願」でなくてもスーパー早期審査が申請可能になります。2018年の実績では、スーパー早期審査の申請から最終処分までの平均期間は約2.5か月です。

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実体審査

審査請求手続を行うと、特許庁の審査官により特許申請書類に記載された発明の具体的な中身などについて審査が行われます。
特許申請の発明の技術分野の分類に基づいて、その分野の専門的な技術知識をもった審査官が指定されます。

上でも述べましたが、審査請求をしてから最初の審査の結果がわかるまでには平均で10.0か月(2022年)ほどかかります。早く権利化されたい場合には早期審査をおすすめします。

この実体審査では、主に、先行技術調査(特許申請した発明と関連する技術が記載され、先に申請、公開された特許公報などの調査)の結果に基づいて、特許申請書類の特許請求の範囲に記載された発明に新規性、進歩性があるかどうかなどが審査されます。

審査の結果、審査官が特許申請について拒絶すべき理由を見つけることができなかった場合には特許を認めてよいとする特許査定が行われます(次のステップへ)

審査の結果、審査官が拒絶理由を見つけた場合には、拒絶理由が通知されます。
一般的にはいきなり特許査定となるよりも、拒絶理由が通知されることのほうが多いです。
なお、日本の出願において、いきなり特許査定となる率は14.3%程度、拒絶理由が通知される平均回数は1.1回程度(2022年1月~12月)です。
拒絶理由通知書にうまく対応しながら、より広い権利範囲を求めていくというのが特許権取得のイメージであると思います。

上記の審査の結果による特許庁からの特許査定の謄本または拒絶理由通知書は、弊所が出願を代理した場合は弊所がオンラインで受信します。

拒絶理由が通知されても、慌てず騒がず落ち着いて、拒絶理由通知書を注意深く読んで審査官の意図を読み取ることが大切です。たとえ審査官の文面が必要以上にきっついなーとか…とか思ってもぐっとこらえて大人になって我慢します。
新規性、進歩性などの拒絶理由の場合には、通知書に記載された先行技術文献との相違点がどうすれば明確になるかを熟考します。

拒絶理由を解消するためには、審査官の主張に反論する意見書特許請求の範囲や明細書などを修正する補正書などを拒絶理由通知書が発送された日から原則60日以内に特許庁に提出する必要があります。
弊所で出願を代理して拒絶理由が解消可能であると判断した場合には、特許出願人であるお客様のご意見を取り入れた上で、意見書案、補正書案を作成いたします。
必要に応じて弊所で特許庁の審査官との面接、電話・ファクシミリ等による連絡を行います。
面接ガイドライン【特許審査編】(特許庁)
お客様のご確認の後、特許庁への意見書、補正書などの提出手続を弊所で行います。

拒絶理由通知の応答期間60日は、出願人が国内居住者の場合には2か月延長することが可能です。
応答期間内でも、応答期間経過後でも(ただし応答期間の末日の翌日から2か月以内)、応答期間の延長を請求できますが、特許庁に支払う手数料が応答期間内の請求であれば2,100円で済むのに対して、応答期間経過後の請求だと51,000円かかります。
出願人が日本国内に住所などを有しない在外者である場合には、拒絶理由通知の応答期間は3か月になります。応答期間内であれば、延長請求が2回可能で(1回目2か月延長、2回目更に1か月延長、2回分同時に請求も可能)、合計で最大3か月延長することができます。特許庁に支払う手数料は1回につき2,100円です。応答期間経過後の延長については、出願人が国内居住者である場合と同様です。

なお、補正は、特許申請をした時の明細書、特許請求の範囲または図面に記載した範囲内でしか認められず、新しい事項を後から追加することはできませんので注意する必要があります。

また、拒絶理由が通知された場合に、特許出願を分割して新たな分割出願を行う対応も考えられます。

補正書、意見書などを提出してもまだ拒絶理由が解消されない場合には、再度拒絶理由が通知される場合があります
再度の拒絶理由通知の中でも、補正することによって通知することが必要になった拒絶理由通知のみを通知するものを最後の拒絶理由通知といいます。
この拒絶理由に対しては、特許請求の範囲の限定的減縮、請求項の削除などを目的とする補正のみが許され、補正できる範囲はさらに限定されることになります。少しややこしい話なので、ここでは説明をこの程度にとどめておきます。
再度拒絶理由が通知されることはそれほどめずらしくなく、この場合も、上で述べたのと同様に、拒絶理由を解消できるよう対策を練ります。

補正書、意見書などを提出して拒絶理由が解消した場合には、審査官が特許査定を行いますが(次のステップへ)、審査で最終的に拒絶理由が解消されなかった場合には、審査官が拒絶査定を行います。
拒絶査定に不服がある場合には、拒絶査定不服審判を請求することが可能です。

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特許査定

実体審査の結果、特許申請について拒絶理由が見つからなかった場合、上で述べた意見書、補正書などにより拒絶理由が解消された場合には、審査官により特許を認める特許査定が行われ、特許査定の謄本が送達されます(弊所が出願を代理した場合は弊所がオンラインで受信)。
この段階ではまだ特許権は発生していません。
2022年の日本における特許査定率75.9%でした。

出願審査請求手続をしてから、特許査定,拒絶査定などの最終処分までの期間は、平均14.7か月(2022年度)です。

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特許料納付

特許権を取得するためには、特許査定の謄本の送達があった日から30日以内に、1~3年分の特許料{3年分×(4,300円+請求項の数×300円)}をまとめて特許庁に納付する手続を行う必要があります。

弊所が出願を代理した場合には、特許出願人であるお客様によるご確認後、弊所にて設定登録料である3年分の特許料納付手続を行います。

この特許料についても軽減制度を利用することが可能です。下記の「特許権の維持」のところで説明しています。

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特許権の取得

特許庁に備えられている特許原簿に設定の登録がされることで特許権が取得されたことになります。上記の特許料納付手続から1~2週間程度で設定登録が行われます。

特許庁から特許証と特許権設定登録通知書が送られてくることで、設定登録の日(特許権が生じた日)や特許番号を知ることができます。特許証は設定登録の日から2週間程度で送られてきます。

特許権の設定登録があった後、特許掲載公報に発明の内容などが掲載されます。
なお、特許掲載公報に、権利譲渡の用意、実施許諾の用意、または、権利譲渡・実施許諾の用意があるという情報を掲載することが可能です。掲載するためには特許料納付と同時に特許公報掲載申込書を特許庁に提出する必要があります。
権利譲渡又は実施許諾の用意に関する公報掲載申込みについて(特許庁)

特許掲載公報が発行されてから6か月の間は、ライバル社などから特許に待ったをかける特許異議申立をされてしまう可能性があります。
年間の特許の登録件数が20万件程度であるのに対して、2022年に特許異議申立てがされてしまった特許権の件数は1,322件なので、異議申立てはそれほど頻繁に行われるわけではないです。
しかし、審査官が先行技術調査の対象にできなかった資料(特に特許関連文献以外)を同業者が当然のようにもっていたりするような場合もあり、そういった場合などには同業者に特許異議申立をされて、特許の権利範囲が狭くなったり、特許の一部または全部取り消されてしまったりということになりかねませんので注意が必要です。
なお、特許異議の申立てがされたからといって必ずしも特許が取り消されたりなどするわけではなく、異議申立ての結果、訂正などで権利範囲が変更されることなく無傷でだいじょうぶだったものの割合は36.9%であり、訂正されて特許が維持されたものの割合は50.9%です(申立日が2015年4月~2021年12月末の計6,312件の統計)。
異議の平均審理期間は8.2か月(2022年)であり、無効審判(平均審理期間(実用新案も含む)13.4か月)と比べると早く結果が判明します。
特許権に対する無効・異議制度の実情(特許庁)(PDF2.21MB)

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特許権の維持

1~3年分の特許料は既に支払っていますので、設定登録の日から3年間は特許権が存続することになります。
設定登録の日から3年を経過しても特許権を維持したい場合には、その経過前に第4年分の特許料を納付する必要があります。
期限が過ぎてしまわないように余裕をもって納付するべきです。追納の救済手段もあるのですが、下手をすると権利が消滅してしまうことがあります。

特許権は特許料を支払い続けることにより、設定登録の日から最長で「特許申請の日から20年経つ」まで存続させることが可能ですので、権利を維持したい場合には第5年分以降の特許料についても第4年分と同様に前年以前に支払います。

なお、審査に時間がかかり、特許出願の日から5年を経過した日、又は、出願審査請求の日から3年を経過した日のいずれか遅い日以後に特許権が設定登録された場合には、期間補償のための特許権の存続期間の延長が可能になりました。
「特許権の存続期間の延長に係る審査基準」の改訂について(特許庁)

第4年分以降の特許料は何年分かまとめて支払うことも可能です。

年数が経つにつれて特許料はだんだんと高額になっていきますので、権利によって得られる利益とのバランスなどを考慮して、特許権を維持するかどうか決定されたほうがよろしいかと思います。
特許料1~10年分については、中小ベンチャー企業、個人事業主などは所定の要件を満たしていれば軽減制度を利用することが可能です。
平成26年(2014年)4月1日以降に出願審査請求を行った出願であれば、中小企業等は所定の要件を満たしていると、特許料1~10年分を1/3に軽減してもらうことが可能です。
また、2019年4月1日以降に出願審査請求手続を行った場合には、特許権者が中小企業である要件さえ満たせば、特許料1~10年分が半額に軽減される措置を受けることが可能になります。
特許出願・申請の費用・料金に関する減免をご参照ください。

なお、第4年分以降の特許料については以下の通りです。(平成16年(2004年)4月1日以降に出願審査請求をした出願)
◯特許料第4年分~第6年分 毎年10,300円+請求項の数×800
◯特許料第7年分~第9年分 毎年24,800円+請求項の数×1,900
◯特許料第10年分~第25年分 毎年59,400円+請求項の数×4,600
令和3年特許法等改正に伴う料金改定のお知らせ(令和4年4月1日施行)(特許庁)

弊所が出願を代理した場合には、第4年分以降の特許料の支払いの期限を管理して、支払手続の代理を行うサービスを提供しています。

特許料の第4年分以降の納付については、特許庁の自動納付制度があります。1年毎に特許料が自動的に納付されるので払い忘れを防ぐことが可能です。
特許料又は登録料の自動納付制度について(特許庁)
弊所のお客様がこの制度のご利用を望まれる場合には、弊所にて自動納付申出書の提出手続などを行います。

また、令和2年4月1日から、特許庁は第4年分以降の特許料の支払について特許(登録)料支払期限通知サービスを開始します。
アカウント登録、特許の案件登録(50件まで)を行うと、納付期限まで3か月以内となったことを知らせる通知メール、利用者が設定した納付期限までのタイミングで送られるリマインドメールを受け取ることが可能になります。
特許(登録)料支払期限通知サービスについて(特許庁)

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特許出願・特許申請手続までの流れ

発明をされた発明者の方などから松田国際特許事務所にお問い合わせをいただいて、特許庁に特許出願手続を行うまでの流れを説明します。
なお、ここで説明する手続のフローは、弊所で開業当初から行われている基本的なフローであって、諸事情により順序、内容等が省略、変更される場合もあり得ます。

流れを円滑に進めていくために一番重要なのは、お客様と弁理士との間で十分なコミュニケーションを図り、発明の内容について明確にし、発展させ、漏れがなく、質の高い特許申請を行うことです。
十分な内容の特許申請手続を行えなかった場合には、その後審査手続を経て権利化を目指すのに支障が生じてしまったり、特許権を取得できたとしても権利行使が難しくなってしまうおそれがあります。

特許申請・出願を望まれる場合にはどのような方法を採ればよいのかについて特許出願の方法のページで説明しておりますので、お問い合わせをいただく前に参考にしていただければ幸いです。

特許庁へ特許出願書類を提出するまでの流れを簡単にまとめたものです。
それぞれの段階をクリックすればその説明が表示されます。

特許申請手続までの流れのまとめ 特許申請お問い合わせ 発明ご相談 発明打ち合わせ 簡易先行技術調査 申請書類作成 申請書類ご確認 特許庁へ書類提出

一つ一つの段階について以下に説明します。

特許申請についてお問い合わせ(無料)

新しく思いつかれたアイデア、商品、技術等に関する発明ついて、特許申請をして権利化を望まれる場合には、特許相談お問い合わせフォームや電話(03-3226-0316)、電子メールなどにより弊所までお問い合わせください。

この段階では、ご自身で何かをご用意されようとするよりは、とりあえず弁理士にお問い合わせをいただいたほうが効率的であるかと思います。

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発明の具体的な内容についてご相談、特許申請をする価値があるか否かの判断など(無料)

発明の具体的な内容について、主にお電話によりご相談を伺います。

お伝えいただいた発明の内容に基づいて、特許権利化できる可能性があるかどうか、特許申請する価値があるかどうかを無料にて判断いたします。
なお、例えばソフトウエア発明や製造方法の発明の場合には、発明の内容などによっては特許申請せずに秘密管理を徹底してノウハウとして保護したほうがよい場合もあります。ノウハウとして保護したほうがよい可能性があるかどうかについても判断いたします。

また、外国への特許出願を望まれる場合には、PCTに基づく国際出願が可能か否か、パリ条約による優先権を主張して各国特許庁へ直接出願することが可能か否か、どのような手段が適切か等の検討を行います。

また、先に関連した発明の内容で特許申請をしている場合には、国内優先権の主張の可否の検討を行います。
国内優先権を主張することにより、先の特許申請に関する発明と重複した内容については、新規性、進歩性等の特許要件が先の申請日を基準に判断されることになり、特許権利化に有利になります。

また、中小・ベンチャー企業のお客様のご相談には、必要に応じて特許庁などによる支援制度を利用できるか否かの検討を行います。

また、早期に権利化を望まれる場合には、早期審査の申請の要件について検討を行います。

また、お客様の目的などによっては、実用新案登録出願が適切か否かの検討を行います。

もし、新アイデア、新商品、新技術等に関する発明について説明書、図面、写真などを既にお持ちの場合には、これらも併せて用いたほうが発明の理解が深まり、特許申請する価値があるか否かの判断はしやすくなります。
お電話でのお話だけでは不十分であると判断した場合には、簡単な説明書、図面、写真などを補充資料として送っていただくようお願いすることもあります。

発明の具体的な内容や、ご依頼件数など諸事情を考慮して、料金を明示いたします。

なお、この段階におけるご相談はすべて無料です。

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発明のより詳細な内容について打ち合わせ(東京都内及び東京近辺は原則無料)

上記のご相談の結果、特許申請をする価値があると弊所で判断し、かつ、お客様が弊所に申請手続のご依頼を望まれる場合には、発明のより詳細な内容について、原則として面談をしてお話を伺います。

東京都内及び東京近辺であれば、原則無料にて、出張し、発明の打ち合わせを行います。

また、東京から離れた地域であっても、交通費のみで出張し、発明の打ち合わせを行います。

出張が難しい場合には、ファクシミリ、郵便、電子メール、電話などを活用します。

打ち合わせにおいてご用意していただく発明に関する資料は、打ち合わせ前に弊所から説明させていただきます。
また、打ち合わせ後に、出願書類を作成するのに追加の資料が必要と判断した場合にも、弊所から説明させていただきます。

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簡易先行技術調査

特許申請をする予定の発明について、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」(独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営)を用いて弊所により簡易先行技術調査を行います。

この簡易先行技術調査の結果、申請手続に進む場合には、調査料は無料となります。

簡易先行技術調査の結果、申請手続に進まない場合にのみ、調査料金として22,000円をお支払いいただきます。

なお、より精度の高い先行技術調査を行うことも可能です。ただし、この場合には、特許出願手続に進むか否かにかかわらず有料となります。

この簡易先行技術調査は、上記の打ち合わせの前に行う場合もあります。

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明細書、特許請求の範囲、図面、要約書、願書等の特許申請書類の作成

上記の先行技術調査の結果、申請手続に進む場合には、弊所により申請書類を作成いたします。

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作成した申請書類のお客様によるご確認

お客様により弊所で作成した申請書類を確認していただき、修正の必要がある場合には修正いたします

特に特許申請が初めてのお客様などは、申請書類を読み慣れていらっしゃらないと思いますので、少しでもご不明な点がある場合には質問していただいて、ご納得していただいた上で特許庁への手続を行います。

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特許庁へ特許申請書類を提出

インターネットを用いて弊所により特許庁へ申請書類を提出いたします。

お客様に特許申請手続の完了をお知らせいたします。この際に、提出した書類等をお送りし、付与された出願番号についてもお知らせいたします。

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特許申請・特許出願の流れについてよくある質問

最後にこの記事に関連してよくある質問について回答します。

新しく開発した関連技術を特許出願に後から追加することは可能ですか?
基本的には特許出願した後に新しい技術を追加する補正はできません。出願の日から1年以内であれば国内優先権という権利を主張して新しい関連技術を追加して出願しなおすことが可能です。元の出願にも記載されてあった発明は、元の出願の時に出願されたものとみなされます。
国内優先権については国内優先権主張手続、外国出願を行うか否かの確認をご参照ください。
特許出願しただけでは審査されないんですか?
日本では特許出願について特許権取得のための審査をしてもらうためには、出願手続の日から3年以内に出願手続とは別に特許庁に審査を請求する手続である出願審査請求手続を行う必要があります。
出願審査請求については出願審査請求とは?をご参照ください。
特許出願をするとどのくらいの割合で特許は認められますか?
日本では特許出願の審査の結果、特許が認められる特許査定率は75.9%(2022年)です。ただし、最初の審査結果の通知での特許査定率は14.3%(2022年1月~12月)です。審査の過程で通知される拒絶理由を解消して特許査定を目指すために、補正書、意見書などを提出します。
詳しくは特許査定率についてをご参照ください。
特許権の「権利期間は、出願から20年。」というのは本当ですか?
正確ではありません。特許権は出願してもすぐに取れないので、権利期間が「出願から」というのは誤りです。また、「出願から20年。」というのは、あくまで特許料を最後まで支払い続けた場合の権利期間の終わりを表しているに過ぎません。そこまで長い権利期間の特許はそれほど多くありません。もし特許について知識がない初心者向けに一番最初に基本としてそのように説明されているとしたら、誤解を与えやすく不適切な説明であると思います。初心者の立場に立って特許についてわかりやすく簡潔に説明するのは難しく、私もまだまだ勉強中です。
権利期間については特許権の維持をご参照ください。

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