特許出願・申請の方法,特許の取り方


発明、アイデアのイメージ

特許出願(特許申請)した経験がないと、誰も思いつかないような発明をして出願してみたくてもどうすればいいのか詳しいことはよくわからないのが当たり前であると思います。

  • 自分で出願書類を作成して手続することはできるのか、それとも専門家(弁理士)に任せなければいけないのか?
  • 提出する書類にはどのような種類があるのか、どんな内容を記載すればいいのか?
  • 出願するにあたって注意しなければならないことって?
  • 特許権を取得できたとしてどんなメリットがあるのか?
  • 特許申請手続の具体的な方法って?
  • 申請手続をした後はどのような手続の流れになるのか?特許の取り方は?
  • 審査にかかる期間はどのぐらいなのか?
  • 費用はどのぐらいかかるのか?
  • 弁理士に特許出願を依頼してもいいことばかりじゃないはずで、デメリットは?

などの疑問について弁理士の立場から説明します。


このページの目次です。

特許申請・特許出願の手続はできる限り弁理士に依頼すべきです

新しい商品、技術を開発して発明を思いついて、特許出願したい場合にはどのような方法を採ればよいのでしょうか。

特許出願を行うとりあえずの目的は、思いついた新技術、新商品等の発明について特許権を得ることであると思います。

特許権は、他人を排して権利者のみが独占的に発明を実施できる強い権利です。
正当な理由等がない場合に、他人が特許発明を実施すると権利を侵害することになります。
特許権が侵害された場合には、発明の実施をやめるように請求できたり、不当な利得の返還を請求できたり、損害の賠償を請求できたり、刑事事件としてまだ起訴されたことはありませんが特許法上では侵害罪として刑事上の責任を追及できる旨規定されています。

このような強い権利を与える代わりに、その発明の内容を公開しなさいというのが特許制度の考え方です。
発明の内容が公開されて、文献的に利用されたり試験や研究などに利用されれば(そのような利用は権利侵害にはなりません。)、社会全体の技術の発展、向上につながります。

逆に、特許制度がなければ、例えば画期的な新技術を考えだしたとしても、その新技術は秘密化されてしまって社会全体の技術の発展が阻害されるであろうことは容易に想像できると思います。

したがって、発明の内容を説明する特許出願の書類は、強い権利である特許権とのバランスがとれた文献的な価値、また、試験・研究にも役立つ資料としての価値を有する必要があります。

このような意味で、特許申請の書類は、その発明の技術分野における専門家が実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものでなければならないとする要件が法律では定められており、この要件を満たさないと権利を得ることができません。

特許権は強い権利なんで、その分特許出願の書類は十分に説明


また、特許権として主張できる技術的な範囲を決定するのは、あくまで作成した出願書類です。発明品の現物ではありません。後から、明らかに足りなかった部分について、口頭で説明したり、発明品の現物を持っていったりしてもその部分については権利を認めてはもらえません。

出願書類に記載する用語のなんでもなさそうに一見思える選択によっても、主張できる権利範囲が大きく変わってきてしまう場合もあります。

特許権は他人を排する強い権利であると書きましたが、営業上有益であって本当の意味で強い権利を取得するのは専門家である弁理士が出願書類を作成しても難しいのではないかと思います。

特許出願の方法、仕方として、発明者ご自身で個人で書類を作成し申請される選択肢もあるのかもしれませんが、上述した理由で発明者ご自身で出願書類を作成されることは非常に困難であると思います。

ちなみに、2022年の統計によると、弁理士が代理人による特許出願の件数が271,079件であるのに対して、本人による出願は17,511件であり、全体の約6.0%が本人による出願であるようです。
本人による出願の件数、割合は、ここ数年間あまり変わらないことからして、本人による出願において大企業の自社出願の占める割合が比較的大きいのではないかと思います。

発明者ご自身で作成された出願書類を何度も読ませていただいた経験がありますが、作成前に書き方をかなり勉強されたと思われるものであってもやはり難しそうでした。

特許出願の方法、仕方としては、経験が豊富で信頼できる特許事務所の弁理士に出願手続の代理、代行を依頼するのが安全で確実であると思います。

弊所では特許出願に経験豊富な弁理士による無料相談を受け付けております。
思いつかれたアイデア・新商品等の発明について、出願、権利化をしたいが具体的にどのようにすればよいかわからない場合にはお気軽にご連絡ください。
ご連絡いただく際に、前もって発明について説明した書面などをご用意していだく必要はまったくありませんので、とりあえずお悩みについてお聞かせください。

なお、弊所に出願・申請についてご依頼いただく場合の流れについては、特許申請の流れをご参照ください。

大事なご発明は経験豊富な弁理士に出願手続を必ず代理させるべき

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発明者ご自身で個人で特許申請・特許出願をするための方法、特許の取り方

費用面の問題などからどうしても発明者ご自身で個人で特許出願・申請されたいという問い合わせをいただくことも多く、また特許事務所にご依頼される場合であっても基礎的な知識として役に立つと思いますので、個人で特許出願・申請される場合の方法(基礎知識など)、特許の取り方について説明します。

「特許出願」と「特許申請」との違い「特許申請」は本当は間違い

「特許出願」とは、発明について特許権の取得を特許庁に願い出ることをいいます。具体的には、発明者の氏名などを記載した願書に、発明の内容を説明した明細書、特許請求の範囲、必要な図面などを添付して提出します。出願だけでは発明の中身までは審査してもらえず、別途審査の請求手続を行う必要があります。

このサイトでは「特許出願」と同じ意味で「特許申請」という表現を文章中に用いたり、ページのタイトルに用いたりしていますが、「特許申請」という表現は誤りであって、本来専門家が用いるべき表現ではありません。
もし私が企業の知財部員であって弁理士と話をしているときに、その弁理士から「特許申請」という言葉が発せられたらその瞬間に「ほんとうにこの人弁理士?」と疑い、信用できなくなります。
このサイトは、特許出願が初めての方や経験の浅い方に読んでいただくことを目的にしています。初心者の方は、「特許申請」というキーワードでインターネット検索されることが多いためにあえてこの表現も用いるようにしています。

ほんとうは、特許は「申請」するものではなく「出願」するものです。
専門家の立場で、「特許申請」という表現が間違いであることを記載せずにそのまま用いてしまうと、誤用を広めてしまうことになりますのでここで触れさせていただきました。

特許出願が正解で、特許申請は間違い

出願前に行うべき先行技術調査

特に発明者ご自身で特許出願を行う場合には、出願前の先行技術調査は重要です。

先行技術調査とは?

特許出願をしても自分が考えた発明と同じ内容で既に誰かに出願されて公開されてしまっていたら、特許権を得ることはできませんし、費用も無駄になってしまいます。また同じ発明の内容で他者が特許権を得ていた場合には、その特許権を侵害してしまう可能性さえあります。
これらを避けるためには、他者によりすでに出願されて公開されてしまった発明などについて調べる先行技術調査を行っておく必要があります。

先行技術調査をパソコンで行うイメージ

自分が考えた発明品はどこの店を探しても売ってないから特許を取れるだろうと思っていても、先行技術調査をすると同じようなものが見つかっちゃったりすることも十分あり得ると思います。

なお、判断は少し難しくなってしまうかもしれませんが、同じ内容ではなくても類似した発明が先行技術調査をして見つかった場合にも特許権を得ることができない可能性がある点にも注意するべきです。
そういう意味では少し視野を広げて調査したほうがいいと思います。
例えば先行技術調査で見つかったAさんの発明とBさんの発明とを組み合わせるなど複数の発明の組み合わせから自分の発明って簡単に思いつくかもなぁーっていう場合にも特許が取れなくなってしまう可能性があります。

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)

先行技術調査は、具体的には、「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」(工業所有権情報・研修館)などで、自分の発明と近い内容が記載された公報(出願内容が特許庁により公表されたもの)などを探す作業になります。

特許情報プラットフォームは、平成30年3月12日に機能改善が行われて、平成5年より前で昭和46年以降に発行された古い電子化前の公報などもテキストで検索できるようになりました。
発明者ご自身で検索される際には、このあたりの古い公報も決して軽んじることなくチェックされるべきであると思います。

特許情報プラットフォームで検索方法などがわからない場合には、ヘルプデスクに問い合わせて聞くとよいです。リンク先のページの上部にヘルプデスクの問い合わせ先が記載されています。たぶん丁寧に教えてくれると思います。

検索方法のマニュアルと講習会のテキストです。
J-PlatPatマニュアル第3章特許・実用新案の操作(PDF4.80MB)(工業所有権情報・研修館)
J-PlatPat講習会テキスト【特許・実用新案編】(PDF1.65MB)(工業所有権情報・研修館)

先行技術調査で見つけた公報は出願書類作成のお手本

工業所有権情報・研修館が運営するサイトなどでは、先行技術調査で見つけた公報が明細書,特許請求の範囲などの特許出願書類を作成する際のお手本になると記載されています。
出願書類を発明者ご自身で作成される場合には、たしかにお手本になり得るのは公報しかないかもしれません。

稽古をつける師範で公報はお手本のイメージ

ただ、公報をお手本にするためには、やみくもに読むだけでは難しく、前もって明細書などの出願書類にどのような記載をするべきかをある程度勉強する必要があります。

また、特許事務所に特許申請をご依頼される場合には、公報は特許事務所にどんな情報を伝えればよいのかを把握するのに有効であると思います。

先行技術調査は研究にも役立ちます

すぐに特許申請をする予定がない場合であっても、先行技術調査を行って研究している技術周辺の発明を調べておくと、

  • 研究自体に有効だったり、
  • 他社の技術開発の方向性を知ることができたり、
  • 無駄な研究の手間を省けたり、
  • 将来的に特許権を取得できる可能性を高めることができたり、
  • 特許権侵害を避けることができたり

などいろいろと役立つと思います。

特許出願の書類の中の説明において先行技術調査で見つけた従来技術が用いられる

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特許を出願するのに注意すること

ここでは、「特許を出願するときに注意することは何ですか?」(知的財産相談・支援ポータルサイト)に沿って説明していこうと思います。

出願はなるべく早めに

日本の特許法では先願主義といって、早く特許出願した者勝ち制度を採用しています。
AさんがBさんより先に発明を完成させていたとしても、BさんがAさんより先に同じ発明について出願してしまうと、Aさんはその後出願しても、原則として特許権を取得できなくなっちゃいます。

そういった意味では、たしかに特許申請は早くしたほうがよいことは間違いありません。

ただ、発明者ご自身で特許出願の書類を作成されるような場合には、一刻も早く出願手続しなきゃという意識よりも、少しぐらい時間がかかっても発明の内容をなるべく明確に丁寧に正確に出願書類に記載しなきゃという意識のほうが重要であると思います。
むしろ「急いては事を仕損じちゃう」っていう意識が大切です。

うさぎとかめで出願を急いては事を仕損じちゃうイメージ

また、特許出願にあまり慣れていない方が、「出願は一刻を争う」という意識が強すぎて十分な先行技術調査などを行わずに慌てて出願手続をしてしまうと、無駄な出願になってしまったり、発明のポイントがずれてしまい本来取得できたはずの特許権が取得できなくなってしまうことがあり得ると思います。

ただ、例えばライバル会社に先を越されちゃいそうな場合などには、一刻も早く急いで出願せざるを得ないと思います。
もし、慌てて出願して明細書などの書類に記載した内容がまずかったなと後から気づいたきなどには、補正以外にも、出願の日から1年以内であれば国内優先権というものを主張して、まずかった部分を直すことも可能です。

出願が済むまでは発明の内容は秘密に

特許出願する前には、発明の内容は秘密にしておく必要があります。とても大事な注意事項です。

例えば発明の内容を秘密にしておく義務がない人にしゃべってしまうと、原則として、新規性という要件を満たさなくなり、自分から特許を受ける権利を放棄しちゃうんだねという扱いになり、特許権を取得することができなくなります。

この注意事項をご存知ない方々が意外に多いように思います。原則的には、出願するまで日本国内のみではなく外国でも発明の内容は秘密にしておかなければなりません。

特許出願する前に発明の内容を秘密にすべきことを表す鍵と技術資料

なお、出願前に発明の内容を公表してしまった場合にも、新規性を喪失させない救済規定があり、平成23年の特許法改正によって出願前の販売などにまで適用対象が拡大されています。
また、この救済規定を適用するためには、公表してしまってから6か月以内に出願する必要がありましたが、平成30年の改正で公表してから1年以内に出願すればよいようになり、例外期間が延長されることになりました。

しかし、あくまで新規性喪失の救済規定にすぎないので、発明の内容を公表した後に、他の会社により同じ発明内容について先に特許申請されてしまった場合には、特許権を取得できなくなる可能性があります。

よって、発明の内容を早く公表しないといけない事情がある場合でも、なるべくこの救済規定に頼ることなく、公表の前に特許出願手続を済ませるべきです。

特許権の権利範囲は特許請求の範囲などの記載により判断

特許出願の書類として、願書(特許願)、明細書、特許請求の範囲、必要な図面、要約書を作成して特許庁に提出します。

特許出願の書類の作成は注意深く慎重に行う必要があります。
明細書のそれぞれの項目や各書類の役割などを理解した上で作成する必要があります。

出願書類作成について熟考する人のイメージ

特許請求の範囲の記載が特許発明の権利範囲を定める基準となり、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するのに明細書の記載および図面が参酌されます。

特許出願書類のページで、各書類の役割などについて簡単に説明していますのでご参照ください。

アイデアをそのまま書いただけでは権利になりません

上述したように、特許出願の書類は、その発明の技術分野における専門家が実施をできる程度に具体的に書く必要があるので、アイデアをそのまま書いただけでは通用しません。

アイデアを基にして、どこまで具体的に発明の構成などを明細書などに記載する必要があるのかの判断は、関連する技術分野の公報などを参考にされるとよろしいかと思います。

出願は価値を判断してから(特許権を取得できたとして現実的なメリットを考える)

特許出願が価値のあるものかどうかを判断する方法の一つとして挙げられるのは、「出願前にするべきこと」で説明した先行技術調査を行うことです。

将来の市場規模などを考慮して採算が見込める発明なのか、その技術分野において技術的な必要性がほんとうに認められる発明なのかなどについても判断してから出願を行ったほうがよいと思います。

もし特許申請をして権利を取得できたとして、現実的にどのような効果、メリットがあるのかについて、特許権を取得したことによる効果、メリットのページで、中小企業のアンケート調査結果を紹介して説明しています。
2,000社以上のアンケート調査結果であり、中小企業に限らず特許出願を検討されている方々にとって有益な情報であると思いますので、ご参照ください。

メリットのイメージ

せっかくそれなりの費用をかけて特許権を取得できたとしても、思い描いていた効果が得られなかったと後悔することのないように、特許出願前に権利を取得する目的をある程度明確にしておくことは重要です。

権利を取得する目的によっては特許出願ではなく実用新案登録出願を選択

上述した中小企業のアンケート調査結果からもわかりますが、特許権を取得する目的は必ずしも特許発明を独占的に実施するという目的とは限りません。もし独占的な実施が主な目的であれば、余程の事情がない限り特許出願の代わりに実用新案登録出願を行うことはおすすめしません。
権利取得の目的が、例えば、官公庁の仕事を受注するのに信用を得るために権利を取得しておきたい、企業に商品を売り込みにいく前に権利を確保しておきたい(とりあえず出願しておきたい)、新商品を発売するのに権利取得をアピールしたい、他社が類似した技術で権利化することだけは防ぎたいなどの場合には、特許出願ではなく実用新案登録出願を行うことも一考すべきです。
実用新案登録出願は、特許出願とは異なり、簡単な要件をチェックする審査のみが行われますので、出願から平均2,3か月で登録が認められ、費用も安く済みます。
その反面、実用新案権は安定した権利とはいえず権利行使しづらく、存続期間の終わりが出願日から10年と短く、保護対象が物品に関する考案に限定されるなどの特徴があります。

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特許庁に出願手続を行う方法

特許庁に出願手続を行う方法としては、出願書類をA4用紙で提出する方法と、パソコンを使ってオンラインで提出する方法があります。

オンラインで提出する方法は、個人の場合には電子証明書を格納したマイナンバーカードを用意するなど事前の準備に少し手間がかかりますので、A4用紙で提出する方法のほうが容易です。

また、書類をA4用紙で提出する方法のうち、特許庁の窓口まで書類を持参する方法では、受付で書類の様式の確認をしてもらえますので、手続に慣れていない方にはこの方法がおすすめです。
書類の様式が間違っていると、出願後に方式審査において補正を命じられたり、最悪の場合には出願が却下されてしまったりなど、面倒なことになりかねません。

ただ、A4用紙で書類を提出した場合には、手続の効率化のために電子化をすすめている特許庁側で書類の内容を電子化することになりますので、2022年4月1日以降は、2,400円+(書類の枚数×800円)の電子化手数料が必要になります。

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A4用紙で提出する方法

用紙のイメージ
出願書類の様式

特許出願のための用紙はどこで手に入れるのかというご質問をよくいただくのですが、特別な用紙がどこかに用意されているわけではなく、Wordなど文書を作成するソフトウェアを用いて作成した出願書類の内容をA4用紙にプリントアウトしたものを提出します。
出願書類のWordファイルの様式は、こちら(各種申請書類一覧(紙手続の様式) - 知的財産相談・支援ポータルサイト)から入手できるようです。

なお、ご質問をいただくことがあるのでいちおう書いておきますが、手書きの書類であっても特許庁は受け付けます。しかし、手書きであると、記載した内容が不明確になるおそれがあるので、よほどの事情がない限り手書きの書類を提出するのはやめるべきです。

出願手数料

特許庁へ納付する出願手数料14,000円は、14,000円分の特許印紙を出願書類の先頭のページである願書の左上に貼ることにより納付します。特許印紙は郵便局や特許庁の1階などで販売されています。その他にも出願手数料を納付する方法はありますが、個人で手続を行う場合には特許印紙を貼る方法でよいと思います。

令和4年4月1日から、出願手数料について特許庁窓口でのクレジットカード納付が可能になります。ただ、初めての特許出願で、後述する識別番号を取得していない場合には、事前に識別番号付与請求書を特許庁に提出して識別番号を取得しておく必要があるので、特許印紙を貼るだけのほうが楽かもしれません。
特許庁窓口でクレジットカード納付を開始します(特許庁)

書類への押印または識別ラベル(必要なくなりました。)

令和2年12月28日以降に行う特許出願手続において、押印、識別ラベルの貼り付けは必要なくなりました。
特許庁関係手続における押印の見直しについて(特許庁)
押印を求める手続の見直し等のための経済産業省関係省令の一部を改正する省令第17条等(PDF281KB)

書類のとじ方

出願書類は複数枚になるので左側を2カ所ホッチキスなどでとじて提出します。願書(特許願)、明細書、特許請求の範囲、要約書、必要な図面の順序で書類をとじます。

出願書類の提出方法

出願書類を書面で提出する方法には、 東京都千代田区霞が関にある特許庁の窓口まで行って提出するか、特許庁へ郵送するかの2つの方法があります。

特許庁の窓口に提出する場合には、願書の白黒コピーも持参すればそのコピーに受付印を押してもらえます。
特許庁に入館する際に受付で本人確認のために身分証明書を提示する必要がありますので、マイナンバーカード、運転免許証等を忘れないようにしないといけません。
特許庁の1階南側に国内出願関係書類の出願課受付カウンターはあります。受付時間は9時から17時までです。
特許庁窓口で手続する方へ(特許庁)

出願書類を郵送する場合には、簡易書留などの書留で郵送したほうがよいです。
封筒には「出願関係書類在中」と記載します。
なお、送付書類のコピーと、返信先を記入して返信用の切手を貼った返信用封筒を同封すると、特許庁から受付印が押印された送付書類のコピーが返送され、特許庁による受領を確認できます。
郵送等で手続する方へ(特許庁)

電子化手数料の納付

出願書類を提出してから2週間程度で電子化手数料の振込用紙が送られてきます。振込用紙の受領の日から14日以内に手数料を振り込みます。

手数料が振り込まれない場合、納付額が足りない場合には、出願番号通知から14日程度経過後に、特許庁長官名で手続補正指令が通知されます。補正指令に対しては、補正書を提出するのではなく、振込用紙により手数料を納付して応答します。
手数料を納付しない場合には、出願手続が却下されてしまいます。
書面で手続する場合の電子化手数料について(特許庁)

出願番号の通知

出願番号の通知は、原則、特許庁の特許出願書類の受付日から15開庁日後に圧着はがきで発送され、この発送日から2,3日後に到着します。
出願番号通知・受領書(はがき)について(特許庁)

識別番号について

識別番号というのは、事務の効率化などのために手続きをする者一人一人に特許庁側から与えられる番号です。識別番号は、特許庁に初めて手続をした後に、特許庁側から付与され、通知されます。出願後の手続で提出する出願審査請求書などには、この識別番号を記載することになります。

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オンラインで提出する方法

オンラインのイメージ
事前の準備

オンラインで出願書類を提出するためには、事前の準備が少し大変で、電子証明書の準備、インターネット出願ソフトの入手,インストール、申請人利用登録などが必要です。
また、ICカードタイプの電子証明書を利用する場合には、その電子証明書に対応したICカードリーダが必要になります。
電子出願ソフトサポートサイト

書類の作成方法

書類はWordなどを用いて作成しHTML形式で保存します。
インターネット出願ソフトを用いた、電子出願用のひな型
Wordを使った書類作成 - 電子出願ソフトサポートサイト(PDF486KB)
HTML文書で使用できるイメージ(図面作成)(PDF268KB)

出願ソフトの操作方法

インターネット出願ソフトのご利用方法(JPO Channel)(YouTube動画)
下の画像をクリックすると動画が再生されます。

ソフトの操作方法については操作マニュアルなどもご参照ください。
インターネット出願ソフト操作マニュアル|電子出願ソフトサポートサイト

なお、全国47都道府県に設置している知財総合支援窓口に、インターネットによる手続のための共同の端末機器が設置されているとのことです。
出願支援(特許庁)
知財総合支援窓口では支援担当者がパソコンを使って電子出願の手続を実際に操作しながら説明を行ってくれるそうなので、操作の説明を聞きに行ったり、操作に不安のある方はこの窓口の共同端末機器を利用して手続を行ってもよいかもしれません。

手数料の納付

手数料の納付方法には、電子現金納付、予納(電子現金納付、銀行振込)、口座振替、特許庁専用納付書により日本銀行窓口で振り込む現金納付、クレジットカードによる支払いの5種類があります。
手数料の納付方法

出願番号の通知

オンライン出願終了後、特許庁からオンラインで返送される受領書により出願番号が通知されます。

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出願手続が終わってからするべきこと

出願手続が無事に終わったからあとは特許権が認められるのを待つだけというわけにはいきません。特許出願手続が完了した後の特許の取り方について説明します。

特許を取るまでに出願人に必要な手続、特許の取り方

特許出願の手続が完了した後、特許を取るまでに出願人に必要な手続の流れを簡単に図で表してみました。

特許の取り方,特許を取るまでに出願人に必要な手続の流れ

この特許の取り方の流れの図からわかるように、出願人としては特許を取るために

  • 適切なタイミングで出願審査請求の手続を行い、
  • 早期権利化を目指す場合には早期審査を申請し、
  • 審査の結果、特許を認めないとする拒絶理由が通知されたら、原則60日以内という期限内に、拒絶理由をなるべく的確に解消できるように、出願の内容を補正したり、意見を述べ、場合によっては分割出願をし(拒絶理由通知に対する応答)
  • 特許を認める特許査定の書面を受け取った場合には、30日以内という期限内に特許料3年分を支払うなどの手続を行う必要があります。

特に発明者ご自身で特許申請した場合には、申請書類の作成の次のハードルは拒絶理由通知に対してどのように応答するかということになると思います。
日本では、審査の結果、拒絶理由が通知されずに一発で特許が認められる率は14.3%であって、拒絶理由が通知される平均回数は1.1回です(2022年1月~12月)。

したがいまして、特許を取るために出願人は出願書類作成の次のハードルである拒絶理由通知に対する応答を最低でも1回はしなければならない可能性が高いです。

この対策として、ベンチャー企業、中小企業、小規模企業、個人事業主などで、特許出願した発明を実施している場合などには、所定の要件を満たすと、最初の拒絶理由が通知される前に、審査官と面接して、拒絶理由の応答についてアドバイスを受けることができ、なおかつ、早く審査をしてもらえるベンチャー企業対応面接活用早期審査を申請することが可能です。
詳しくは、早期審査の申請を行うか否かの確認をご参照ください。

なお、最終的に特許が認められる成功率を特許査定率といいますが、2022年の日本における特許査定率75.9%でした。

発明者ご自身で特許申請して、拒絶理由通知がされずにいきなり特許を取ることができれば喜ばしいことですが、不必要な限定がされていて実用的な価値がほとんどない特許権になってしまっていることもありうると思います。
実際にそのような特許権について相談を何度かお受けしたことがあります。書類の作成は慎重に行いましょう。

出願手続が終わってから特許を取って維持するまでの手続、特許の取り方の流れについて、詳しくは特許権の取得、維持までの流れをご参照ください。

審査の結果はいつごろわかる?

審査にどのぐらいかかるか(審査の期間)というと、
特許庁に審査をしてもらうように請求(出願審査請求)してから

  • 最初の審査結果がわかるまで平均で10.0か月(2022年度)
  • 最終的な審査の結果がわかるまで平均で14.7か月(2022年度)

かかります。

時計の針で審査期間のイメージ

審査を早くしてもらうように申請(早期審査を申請)した場合には、
その早期申請の日から最初の審査結果がわかるまで平均で2.3か月(2022年)に早まります。
早期審査は、中小企業、個人事業主の出願人には要件が緩和されており認められやすいので、早期権利化を目指す場合には申請することをおすすめします。

詳しくは、特許出願・申請の審査にかかる期間をご参照ください。

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個人で特許出願手続を行えば費用を安く抑えることは可能です

発明者ご自身で個人で特許出願から権利取得までの手続をオンラインで行った場合には通常20万円前後の費用がかかります。その発明者ご自身が中小企業、個人事業主などで所定の要件を満たせば10万円以下に費用を抑えることも可能です。

これに対して、弁理士に出願から権利取得までを依頼すると少なとも40万円以上の費用がかかることが多く、費用は高額になります。

詳しくは個人で行う特許申請・特許出願の費用と弁理士に依頼する場合の費用の比較で説明していますのでご参照ください。
なお、特許庁に支払う特許料が2022年(令和4年)4月1日以降の納付から値上がりすることについてもこの費用のページで説明しています。

このように弁理士に特許出願などを依頼する場合には費用は高額になりますが、費用をどうしても捻出できない場合に限って、発明者ご自身で出願する方法を採るべきであると思います。

電卓とペンで費用のイメージ

もし、初心者でも惜しみなく手間暇をかければ特許申請から権利化までの手続が的確にできるのであれば、何十万円も費用をかけて弁理士に依頼する必要はまったくないと思いますが、上で述べたように特に出願書類の作成や拒絶理由の応答はかなりの経験がないと的確に行うことは難しいです。
ただ、重要な発明の特許出願ではなく、例えば趣味的な目的で出願をしてみて、とりあえずどんな形でもいいから特許権を取得してみようというのであれば、手間暇をかければ可能であるかもしれません。

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弁理士に特許出願を依頼するデメリット

弁理士(経験豊富な弁理士に限ります)に特許出願を依頼するデメリットは、発明者ご自身で出願するよりも費用が高額になることのみです。

例えば中小企業などの出願人で弁理士に手続を依頼してしまうと、

  • 出願の方法などについて詳しい理解を得ることができないのではないか
  • そうだとすると将来的にも出願を続けて行っていく予定があるのに不安

と考えられることがあるかもしれません。

しかし、自ら数件の出願書類を作成して手続を行ったからといって、弁理士に依頼した場合と比べて、出願の方法、権利化の方法などについて特別に深い理解が得られるとは思えません。
むしろ書類作成、拒絶理由応答などが適切にされないことにより、特許権自体が取得できなかったり、望んだ形で特許権が取得できなかったりするデメリットのほうがはるかに大きいです。

弁理士に依頼した場合であっても、出願書類の作成から権利の取得まで、一つ一つの手続について弁理士からの提案を丁寧にチェックしていけば、出願の方法、権利化の方法などについて十分な理解を得ることが可能です。それだけで十分です。
特に自ら出願しようか迷うぐらいの方であれば、言われなくても弁理士からの提案を丁寧にチェックされると思いますので。

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初心者のために特許申請・特許出願についておさらい

最後にこの記事についてよくある質問と回答の形式をつかって要点をピックアップして簡単にまとめます。

特許申請は発明者が自分でできますか?
発明者ご自身で特許申請の手続を行うことは可能です。しかし、特許申請の書類を作成するのは専門家でないと難しいので、できる限り専門家である弁理士にご依頼されることをおすすめいたします。
詳しくは特許申請・特許出願の手続はできる限り弁理士に依頼すべきですをご覧ください。
特許申請をして権利を取得するまでどのくらい費用がかかりますか?
発明者ご自身で手続をした場合には、通常20万円前後の費用がかかります。中小企業、個人事業主などであれば軽減制度を用いることにより10万円以下に費用を抑えることも可能です。弁理士に依頼すると40万円以上の費用がかかる場合が多いです。
詳しくは個人で特許出願手続を行えば費用を安く抑えることは可能ですをご覧ください。
特許庁に特許申請の手続を行う方法は?
作成した申請書類を霞が関にある特許庁の窓口に提出、または、特許庁へ郵送する方法があります。また、パソコンを使ってオンラインで提出する方法もあります。申請書類はWordなど文書を作成するソフトウェアを用いて作成します。
詳しくは特許庁に出願手続を行う方法をご覧ください。
審査の結果がわかるまでの期間は?
特許庁に審査をお願いしてから最初の審査結果がわかるまで平均で10.0か月、最終的に審査結果がわかるまで平均で14.7か月です。早く審査をしてもらう請求をすると最初の審査結果がわかるまで平均で2.3か月まで早まります。
詳しくは審査の結果はいつごろわかる?をご覧ください。

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