中小企業等減免制度の拡充や審査請求料の引き下げが検討されています

中小企業等減免制度の拡充や審査請求料の引き下げが検討されています

早期に検討が必要とされた特許制度に関連した事項について検討を行う特許制度小委員会で、審査請求料の引き下げや中小企業等減免制度の拡充などについて検討が行われています。

特許出願を実体審査してもらうためには出願審査の請求手続が必要になりますが、この審査請求手続のために特許庁に支払う基本料金は168,600円と高額です。この他にも請求項1項あたり4,000円をあわせて支払う必要がありますので合計で20万円前後になります。

今回は審査請求料の基本料金168,600円の引き下げについて検討されています。なお、日本経済新聞では特許庁が1~3割程度の引き下げを検討していると報道されたようです。

審査請求料の基本料金が安くなるのは確かに中小企業にとってありがたいことであるとは思うのですが、審査請求料を半額に減らすことなどが可能な中小企業等減免制度の拡充のほうが利用要件の緩和の程度によっては実益があり注目すべきであると思います。

例えば、現在、研究開発型の中小企業である会社が減免制度を利用して審査請求料を半額にしてもらうためには、「試験研究費比率が売上の3%超」、「職務発明であって、使用者等(会社等)に契約等に基づき予め譲渡された(予約承継された)発明であること」等の要件があるため、これらの要件を証明する書類を提出する必要があります。

しかし、実際に証明書類などを揃えて利用しようとすると厳しいものがあり、減免制度の利用率は2.44%だそうです。

今回はこれらの要件の緩和、それに伴う提出書類の簡素化、不要化などが検討されています。
また、現在、特許料は現在第1年分~3年分のみが半額軽減等の対象になっていますが、第4年分以降の特許料も対象にするかどうかについて検討されています。
特許料は存続期間が経過するほど高額になっていきますので(例えば、第10年目以降は毎年61,600円に加えて1請求項につき4,800円)、減免される期間が長くなれば特許権を維持することが楽になります。

特許にかかるコスト負担が大きいことから特許出願を躊躇される中小企業さんは多いと思いますので、減免制度をできる限り利用しやすい方向で見直していただくことを望みます。

2010年07月15日 |

カテゴリ: 特許関連


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